GaNシングルエンドアンプ +100V定電圧回路
2021-12-28


アンプ本体の話の前に定電圧基板について触れておく。
初段WE420Aのプレート電圧は電源のノイズに敏感で、リップルがあるとそのまま出力に出てくる。なのでどうしても定電圧回路が必要となる。ただ、消費電流が少ないので、無帰還型レギュレータで十分である。

初版時の姿はこのとおり。 禺画像] ところが増幅部の改訂を重ねるうちに、WE427Aの定電圧放電管が立ち上がらなくなるというトラブルが発生した。
原因は単純であった。
当初、増幅部の消費電流は軽微であったのが回路変更によって数倍になった。ところが電源トランスの容量がそれほど大きくないため、定電圧回路の入力電圧が120V前後に低下した。ふつうなら問題にならない。ところがWE427Aは起動時に最低でも120V、安定に起動するためには130V以上の電圧が必要だったらしい。データシートには起動電流の規定があるけれど、起動電圧までは書いていない。文句を言っても始まらない。とにかく対策しなければならない。

いろいろあった末に回路は以下のようになった。
なお、回路図のP172Gはトランジスタ型となっているが、正確にはフォトMOSリレーである。シンボルを書き足すのが面倒なのでそのままにしている。
禺画像] 起動前はフォトMOSリレーはオフになっている。そこへ入力があるとGaNのゲートが接地されているので、出力はゼロのまま。この状態では増幅部に電流が流れないので、整流回路の出力電圧は+150Vに近い。WE427Aが起動するのには十分である。

WE427Aが起動すると、カソードに電流が流れてフォトMOSリレーがONになり、GaNのゲートと接続されて定電圧回路回路が起動する。
改修後の基板上面。 禺画像] 同じく裏面。 禺画像] 真ん中に白く見えるのがフォトMOSリレーである。 GaN素子は左上に見える。ほとんど発熱しないのでユニバーサル基板に直付けしても問題ない。

なお定電流回路に使ったMOS-FETについてひとこと触れておく。
最初はDN2540を使っていた。ところがWE427Aのアノードの波形をオシロで見ると予想以上にリップルが漏れてくる。WE427Aは動作抵抗が結構高いため、出力にもリップルが漏れてくる。その結果、アンプの出力ノイズが1mV程度という残念な結果になる。

それをLND150に変更したところ、リップルが激減。当然だが出力の出力ノイズも小さくなった.

回路図のDet端子について。
前回の記事に書いた電源起動シーケンサは、+B 100V電圧監視機能がある。それがこのDet端子である。ようはLED端子の電圧を見ているだけ。
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[Schematics]
[Single End Amp]

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