Laptech水晶発振器 矩形波変換回路の検討
2020-01-10


その後、I様からいろいろアドバイスをいただき、あれこれ思案することとなった。

そもそものきっかけは、矩形波変換回路をいじっていたときのことである。ここはPOTATO社の74GU04が使われている。電源は動作確認を優先したのでとりあえず単一電池二本で済ませた。で、きちんと動作した。ところがそのうちに電池の電圧が低くなるにつれて音が悪くなってきた。音が堅くなるのである。新しい電池に換えたら元の音に戻った。それがヒントになった。

どうも矩形波変換回路は予想以上に音に影響を与えるらしい。そこで電池二本で済ますのはやめて、定電圧回路を入れることにした。使ったのはLT3042。
やってみると音がしっかりとして効果が確認できた。しかし、天地がひっくり返るほどの変化ではなかった。

次に考えたのはクロックの伝送方法である。
従来は発振回路側で矩形波に変換し、これを同軸ケーブルを通してDDCに送っていた。しかし矩形波は、ご存じのように奇数次の高調波の広範囲な重ね合わせで成り立っている。立ち上がり時間が短くなればなるほどそれがどんどん高い周波数に及んでいく。それを同軸ケーブルで送るのだから、伝送途中に外部からノイズが入れば、容易に位相雑音が増大することが予想される。

ならば矩形波で伝送するのは止めて正弦波で送ってみたらどうか。差動出力にしてノイズへの耐性を上げる手もあるが、それは将来の検討課題にする。今回はまずシングルにして同軸ケーブルを採用する。

まず考えたのは、いっそのこと正弦波のままでクロック入力すること。ところが残念なが発振器の振幅が1.6Vppくらいしかなく、このままでは小さすぎる。問題は、位相雑音を加えないアンプをつくる自信がないこと。

そこでこうした。
1)発振器本体には手を加えない。
2)その代わりにFETを使ったバッファをいれて、S(ソース)をそのまま同軸ケーブルの出力とする。
3)DDCの直近に矩形波変換回路をもってくる。使ったのはLTC6957。データシートによればこれから出力される矩形波の立ち上がり時間は300pSとある。
4)LTC6957の電源にはLTC3042を使う。
5)バッファの出力は実験によって1KΩで受ける。この抵抗はLTC6957の直近に配置する。

昨日、部品がそろったので一気に組み上げた。できあがったときには夜の11時をまわっていた。いつもなら寝る時間だが、我慢ができず音を聴いてみた。
同じ発振回路なのに、これまでとは全く違う。最近は何をしてもヒットになるのは珍しく打率が低迷していたが、ひさびさの大ホームランである。これで矩形波変換回路の重要性と、正弦波伝送にメリットがあることが証明されたように思う。

まずはバッファの出力点における波形を観測する。 禺画像]
次に発振回路の様子。オーブン未実装。矩形波変換部のパターンのところにFET BF513を載せた。
禺画像]
次にLTC6957の様子。向こうに小さく見える。この基板をI2SoverUSBの背中に載せ、外部クロック入力端子に短距離で接続できるようにした。
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今回はまだ試作段階なので、いくつか手を入れたいところがある。とにかくエージングでどこまで音が変わっていくのか、楽しみである。
[Audio]
[Laptech OSC]

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