2017-11-15
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帰還アンプでの位相補正と言えば、NFB抵抗にCをパラにするのが一般的である。
ところがMK3ではこれと併せて、終段KT88のスクリーングリッド (SG)と初段のカソードを120pFでつないでいる(SG-K帰還と呼ぼうか)。このテクニックは管見にして他に見当たらず、Dynaco独特のようである。MK4になってからは、NFB抵抗にパラるCを削除し、SGからの帰還Cだけになっている。それほど強力に効くということなのだろう。実際、試した結果もそうであった。
さてその効果について言えば、とにかく音が前に出てくる。加えてホールの残響音が豊かに聞こえてくるのも特徴。ただし、まだエージング不足のせいか低い音域がやや薄れがちで、ここが豊かになれば言うことなし。
古くから根強いDynacoファンがいるのは、プアマンズ・マッキントッシュと言われるほど価格が手頃であったばかりではなく、価格を超えた音が多くの人たちを引きつけてきたことにあるのだろう。その魅力的な音を出す要因の一つは出力トランスにあるだろうし、私の推測では、SG-K帰還もその一翼を担っているように思う。
最初手にしたオリジナルの音は、どこかまったりとして良く言えば「豊かで緊張感のないどっしりとした音」であったが、いっぽうもう少し解像度と奥行きがあればと感じた。
改造版ではこれらの不満がほぼなくなり、見違えるほどの繊細さを見せてくれる。エージングが進んだらまた印象が変わってくるだろう。
写真は、例のSG-K帰還に使われているモールド・マイカコンデンサ。耐圧は500V。このようなキャラメル型のコンデンサを手にしたのは何年ぶりだろう。小学生時代、兄のジャンク箱を漁ってこの形のコンデンサを探し出し、ラジオを作ったことが懐かしく思い出される。
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