2024-03-05
GaN(窒化ガリウム)トランジスタを終段に使ったパワーアンプ、その後いくつか手を入れて、ますます素晴らしい音に変貌してきた。まずは増幅部の回路図を。 禺画像] 回路の説明
調整箇所は次の二カ所
VR1: 初段C3mのプレート電圧調整
VR2: 終段GS66502Bのアイドリング電流調整
当初、プレート電圧によって歪率は大きく変化するだろうと予想していた。ところが実際にVp=30〓80Vの間で様子を見てみると、ほとんど変化しない。これにはしょうしょう驚いた。
ただし、Vp=100Vを超えた場合もそうであるかどうかは不明。
左チャンネルと右チャンネルとで歪率を比較すると結構な差がある。これはC3mの個体差によるものであろう。
続いて電源部。高電圧部の平滑回路にはチョークを入れた。 禺画像] (トラブルシューティング)
いつものように、ここに至るまで艱難辛苦(おおげさ)がいくつかあった。
1)終段の発振
VR2を回して徐々にアイドリング電流を増やしていくと、ある時点から発振を始めた。発振は12秒間隔で始まり、数秒間大暴れした後また静かになるという繰り返し。当初、増幅素子を疑ったり、配線を疑ったがすべてシロ。
最終的にGS66502Bのドレイン端子近傍にバイパスコンデンサC20をつけたら、もののみごとに発振はおさまった。ソースフォロワのドレインはコンデンサでインピーダンスを下げるというのが鉄則。これを忘れていた。
ついでにC19も付加してLND150にも対策を行った。
わかってみればまことに馬鹿馬鹿しいことであるが、この現象に悩むこと数週間。一時は止めようかと思ったことも。諦めなくてよかった。
ついでに言えば、バイパスコンデンサのことに気がついたのは、たまたまドレイン付近に指を触れたら発振がおさまったことがきっかけだった。
発振の原因を探るとき、いろいろなところを感電に注意しながら触れてみるというのは、意外な発見をもたらすことがある。
2)C3mの第二グリッド電圧の固定方法
当初、定石通りに+140Vを抵抗で分割してG2の電圧を与えていた。
そこへたまたまコメント欄にコメントが入り、私の過去の記事で定電圧ではなく定電流でG2電圧を与える方法について書いてあったのに言及してくださった。こちらはすっかり忘れていたが、そう言えばこんな方法もあるのかと逆に教えられて、さっそくLND150を使った定電流回路に入れ換えた。実装面から言えば場所を取らずコンパクト、まことによろしい。音については、他の変更と一緒に行ったのでなんとも言えないが、すくなくとも悪いところは一切ない。
3)G2電圧のバイパスコンデンサ
当初、C13には手持ちにあった一般的な電解コンデンサ100uFを使っていた。高域が若干弱く聞こえる原因はC11の値だけではなく、このコンデンサの影響だろうと推測。そこでC14を追加した。
4)初段C3mの発振
片チャンネルは安定だったのが、別チャンネルが発振してしまった。発振周波数はおよそ400KHz。もちろん配線ミスはない。ああでもないこうでもないということで、結局C11を入れたら見事に安定になった。当初5pFとして高域カット周波数を35KHzとしていたが、音を聴いてみると若干高域がおとなしく感じる。そこで3pFに変更すると、これが一変して余韻が細やかに広がってすばらしい。
(残された課題)
・C3mのヒーターは終段の電源からもらっていて、電圧を合わせるためにR7, R8を挿入しているが、20Vの規定電圧に若干足りなくて少し不満がある。ここは定電流駆動にしてみたい。
・R14は2N3634のベース電流によって電圧がかかるようになっていて、アイドリング電流設定の役割も兼ねている。なのでどうしても高抵抗値になりVARが使えない。ここは手持ちの進抵抗とした。R14は音に大きな影響があるはず。これが気がかりで、将来なんとかしたい。
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