GaN 単段アンプ その12(完成篇)
2021-05-03


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前回のシリーズ11から、また手を加えてみた。
気になっていたのは、帰還抵抗に並列接続しているコンデンサで、一応5pFとしてあるけれど、これはほとんど効いていない。もう少し落ち着いた音を目指したいと思い50pFに変更してみたかったのだが、手持ちのコンデンサの関係からとりあえず120pFにしてどうなるか音を聞きたいと考えた。

ここで問題発生。またもや発振してしまった。
おまけに、「大事に使わなければ」と言っていたGS66502Bが壊れたときはがっくりと肩を落とした。

なぜこうも簡単に発振するのか。最初は回路構成にまずさがあるのかと思っていたけれど、まだ何か見落としがあるのではないか。じーっと考えた。

この考える時間が大切である。苦痛ではあるけれど、あとで克服できたとき、大きな喜びに変わる。その喜びがあるからこそ、妻から「作っては壊し、作っては壊しをしているばかり」と言われようが、いまだにアンプ作りを止められないのだろう。

沈思黙考の末、思いついたのは「共通インピーダンス」である。
これまでNFBのグランドラインは、基板のもっとも近いところという理由で、GaN(Lower side)のバイアスグランドに直接接続していた。基板のグランドからワイヤで平滑コンデンサのマイナス端子と結び、そこをこのアンプの一点アースポイントとしていた。

直流という視点から見れば、これで問題なく動作する。しかし交流という視点から見るなら、バイアスグランドとNFBグランドが混在しているので、そこに共通インピーダンスが生じる。本来NFBは、スピーカーのグランドから戻すべきだから、ここに問題があるのではないか、という推測である。

本当にそうかどうかは、実機で検証することになる。グランドの接続状態がよくわかるように回路図を書き直した。

壊れてしまったGS66502Bの手持ち在庫は枯渇してしまったので、カスコード接続の上側、下側ともGS61004Bに入れ替えた。多少、入力容量が大きくなるが動作はするはずである。バイアス調整もスムース。

結果はドンピシャリ。発振の兆候はまったくなく、安定に動作する。
ちょうどよいタイミングでオーディオアナライザが復活。特性を測定してみたら、予想外の結果が出てきた驚いた。そのことはまた稿を改めて書く。

回路としてはこれ以上ないほどシンプルでありながら、まさか共通インピーダンスがこれほど問題になるとは。熟練者には基本中の基本であろう。やはりアンプ作りもこのような単純な回路から始めて基礎を学び、一歩一歩複雑な回路へと進むべき。へなちょこアマチュアはそこあたりをいい加減に済ましているので、ときどき痛い目に遭う。
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